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難病を抱える我が子と、同じような人たちのために始めたNPO

子どもに望むことはなんですか、という質問はよくある。また、その答えとして健やかに育って欲しいというのがある。子どもの健康に対する親の願いというのは普遍的なようで、ギリシャ神話などにも描かれている。その作中でアキレウスという英雄が登場するのだが、彼の母はこの我が子を不死の体にするために、冥界に流れる川に彼を浸すシーンがある。不死というのはいささか大げさであるが、やはり子どもの健康を願う親というのは多い。ただ、現実は時として残酷なときがある。子どもの健康を願う親心に反して病が忍び寄るという話もよくある。それはとてもショッキングなことに違いないが、それに気持ちを引きずられ続けるわけにもいかない。なぜなら親である以上、その子どもを育てていかなければならないからだ。そして、たくましい人もいる。

病を抱える我が子だけでなく、同じ悩みを抱える人のために団体を

難病を抱える我が子を育てるだけでなく、同じような境遇の子どもや親のために何ができるかを考えて、NPOを始めた人がいる。それが『きよくん基金を募る会』の代表である林優子さんだ。主要な活動内容といえば、ドラベ症候群の研究を盛り上げるために、研究者向けの助成金事業を行っているのだが、このNPOは財団どころか法人ですらない。つまり任意団体なのである。助成金は林さんの自著の印税と、チャリティーコンサート『ぽっかぽかコンサート』の収益ですべてをまかなっている。これまでコンサートを10回行い、300万円集めた。これを元手にして4度の助成を行った。

大した助成はできないけど、少しでも注目が集まれば

「研究費というのは莫大なものなので、大した助成ではないということは分かっています。ただ、トラベ症候群を専門とする研究者が減ってきているので、少しでも目を向けてもらうきっかけになったらいいなと思い、助成を続けています」と林さんはいう。

このNPOは新たな試みも始めた。ドラベ症候群に関するデータベース・サイト作りである。患者や関係者が、患者自身のニックネーム、年齢、性別、ドラベ症候群のタイプ、使用薬、発作の種類、体の変化、進路などを気軽に入力でき、研究に必要なデータを集める。研究にとってデータ集めは欠かせないものだが、研究者が研究に合わせてそれもするのは骨が折れる。それならば患者側がデータ集めを肩代わりすることで、研究者に研究に集中してもらうことが狙いだ。