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どちらの子どもを救うべきか、あなたは選べますか?

パンにしようかご飯にしようか、どんな服を着ようか。私たちの日常は選択で溢れかえっている。その多くは個人的なことで自分で納得すれば良いが、あなたの選択によって他人の死が左右されるとしたらどうだろう。例えば、大きな病気だが手術をすれば治る1人の子どもと、下痢の病気に苦しむ数十人の子どもがいたとして、どちらかしか救えないとしたら、あなたはどちらの子どもを救うだろうか。

卵が先か鶏が先かではないが、これは簡単に出せる答えではない。ただ、認定NPO法人フューチャーコードの代表である大類さんは、あえて後者を選んでNPOをスタートさせた。この人は医療に携わる人である。どちらも救えるからこそ、どちらも救いたい気持ちは人一倍強いと思うのだが、大類さんはあえて後者を選んだ。

現地では医療より大切なことがあった

なぜ、大類さんはこのような選択をしたのだろう。このNPOをする前、緊急医療専門の団体に所属していたのだが、現場での活動を通して失望感のようなものを感じたかららしい。緊急医療はあくまでも緊急時のものだった。ずっと現地に滞在しているわけではない。2週間もすれば現地を離れてしまう。

「もちろん緊急医療も大切なものであるが、医療ができない環境で医者であるということに自分の無力さを感じ、もっと現地に残るものに注力したいと思った」と大類さんは言う。

例えば、このNPOが活動をしているブルキナファソのサポネ市での乳幼児の死亡率は9.6%。これは10人に1人の子どもが5歳までしか生きられない計算だ。この数字を見ると、むしろ医師が必要だと思えそうだが、そうとも言えない。実は死因の第1位はマラリアで、第2位は下痢疾患である。これらの病気に対して有効なのは医療ではない。それよりも保健衛生の方が大切なのだ。つまり、蚊帳の使い方を教えたり、飲み水を綺麗にすることなのだが、これは医師ではなくてもできる。

単発的な医療を施すことの無意味さ

日本に住んでいると離島でなければ医療は身近である。駅前にでも行けば何らかの病院がある。ただ、世界を見渡したとき、医療が根付いていない国は実は少なくない。そんな土地で単発的に医療を施すことに、どれほどの意味があるのだろうか。まったく無意味というわけではないだろう。きっと救われる命もあるはずだが、長い目で見ると微妙な話だ。砂漠に水をやるようなものかもしれない。

そんな矛盾と果敢に戦っているのが、このNPOだ。現地の状況によっては医療を施すこともあるが、それよりも公衆衛生を整えたり、医師や看護師を派遣して現地の人たちを育成することで、医療を根付かせようとしている。数年後の数万人を救うために。

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