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「食」という間接支援、活動の根底にあるもの

「そもそも食べ物を簡単に捨てている現状がおかしい。食べ物は皆命からできているじゃないですか」

なぜ、数ある支援の中で「食の支援」という形を選んだのか?

――その問いへの認定NPO法人フードバンク関西の浅葉さんの答えは、いたってシンプルなものだった。

児童支援施設や通所作業所まで伸びる支援の手

食品を作り、提供するのは「企業」という営利団体だ。余った食材を、わざわざコストをかけて貧しい人に与えたりはしない。だから、その役割を自分たちのようなNPOが担う必要があるのだ、と浅葉さんは語る。そのような食材が、母子家庭やホームレスなど、経済的に圧迫を受けている人々に提供されることは容易に想像がつく。しかし、このNPOの支援対象はそれだけにはとどまらない。児童支援施設や身障者通所作業所など、数多くの施設・団体への食材の提供を行っている。

子どもたちの心のケアに行政の予算がなかなかつかないからこそ

「たとえば、ある児童養護施設には毎日3食の予算はあっても、育ち盛りの子供たちのおやつや、夜食には予算が十分にはついていないんです。そこに食材を届けるとね、夜食タイムだってできるし、食費を節約すれば浮いたお金で週に1回でもカウンセラーを呼べる。ネグレクトや虐待で傷ついた子供たちの心のケアには、なかなか行政の予算がつかないっていう現状もあるから」と浅葉さん。

身障者通所作業所でも、食材を提供し、食費を節約することによってできることがある。

「作業所では、食材を使ってみんなでお昼ご飯を作ったりします。料理をするということ自体が、貴重な経験になるから。そうして食費を節約して、浮いたお金で年に1回参加者からお金を徴収しないで全員でバスツアーに行く団体もあるんです。他にも回転寿司に行ったり、カラオケに行ったり。食費を浮かせることで、みんなに普通の娯楽体験をしてもらうことだってできます」

食べ物を棄てるのはおかしいというシンプルな思い

教員の経験がある浅葉さん。今の活動には、その経験も大きく影響しているのだろうか。そんな記者の問いに、彼女は「それはあまり関係ない」と即答する。むしろ影響しているのは、自身の幼少期の経験であるという。

「今の若い人たちは、お腹が空いていても食べ物がない、なんて経験をしたことがないでしょ? わたし達の世代は、お弁当箱を開けると、ふたにお米がこびりついているでしょ。それを残しても「もったいない」と親から怒られたような時代だったんです」

「みんながちゃんと食べられればそれでいいんだから。過剰生産で大量廃棄なんてバカみたい!」

そう言って笑い飛ばす浅葉さんの声がとても印象的だった。活動の根底にあるのは、「食べ物は命」、「食べ物を棄てるなんておかしい」といういたってシンプルな思いなのだ。

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