「デイサービスというよりは、紳士淑女の社交場っていう感じでしょう」と岡本さんは楽しそうに笑う。金曜日の夕方に行われる「つながり食堂INはじめのいっぽ」では、子供から高齢者までの様々な世代の人たちが集まり、食事を共にする。ケアットが大切にしている多世代共生の一環である。多世代共生によって各世代にもたらされるメリットについて、岡本さんはこう語る。
「いろんな大人に触れることによって、子供たちは親に縛られずに自分を確立できます。親に対して『それは子供には悪影響ですよ』って指摘するより、子供自身に力をつけさせた方が効果がある。逆にお年寄りのひとたちも、『子供たちにエネルギーがもらえる』と喜んでいます」
交流によって学び、楽しみを見出しているのは利用者の子供たちや高齢者だけではない。彼らの何気ない言動から、岡本さん自身もしばしば学びや気づきを得ているという。利用者にとってだけでなく、職員にとってもケアットは「居場所」なのだ。そんな「居場所」を持続可能なものにしていくことが、ケアットの課題であり、利用者や職員に対する責任である――そう語る岡本さんの明るい声と表情のなかにケアットへの思いが滲み出ているような気がして、胸を熱くせずにはいられなかった。