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人の真の自立を目指す認定NPO法人トゥギャザー

今回紹介するのは福祉事業を行っている認定NPO法人トゥギャザー。同団体事務局長の別府一樹さんに話を聞きに行きました。いったいこの団体はどんな思いで活動を行っており、何を目的としているのでしょうか?

目次

  • 知ってますか?障がい者の給料事情
  • 中立の立場を守るトゥギャザーの真意とは?
  • 寄付が1万円あったら100万円あったら

知ってますか?障がい者の給料事情

皆さんは障がい者の給料がいくらか知っていますか?

障がいの程度や種類によってできる仕事に差はあります。そのため、給料の額も人によりけり。一般企業で就労可能な人もいれば、一般企業での就労は困難でも簡単なことなら作業ができる人、就労そのものが難しい人もいます。そんな中、トゥギャザーが特に支援しているのは、一般企業での就労は困難でも、簡単なことなら作業ができる障がい者です。この層の人たちは主に福祉事業所という所で、菓子製造、雑貨製造といった仕事を単純作業に細分化して分業で働いています。

クッキー製造の例に挙げると小麦粉を計量する人、材料を混ぜる人、オーブンで焼く人というように作業工程1つ1つに担当者を置いて1つの完成品を作ります。しかし、この人たちの仕事に対する報酬は、現在全国平均およそ1万5千円となっています。月額収入が1万5千円なのです。1日4時間、週に5日働いて、これを4回繰り返し、1か月でもらえるのがたったの1万5千円。これが今の現状なのです。「月1万5千円の給料で自立しなさいと言われて、誰ができるねん」という別府さんの言葉には本当に共感しかありませんでした。

障害者総合支援法という障がい者の自立を目指す法律はあります。しかし自立といえば聞こえはいいですが、こんな現状のままでは自立支援という名の切り捨てといっても過言ではありません。ただ、障がい者には障害者基礎年金というものが支給されます。これは障がいの重さ等によって変わってきますが、月6~8万円くらいです。もしも、月6万円の年金と月1万5千円の収入で自立をして親の助けなしで生きていけと言われたとしたら障害がなくても難しいのではないかと思います。給料にしろ年金にしろ、最低賃金どころの話ではありません。このような現状でいったいどうやって貯金をしたらいいのでしょうか? いったい親が亡くなった後はどうやって生活していけばいいのでしょうか?

中立の立場を守るトゥギャザーの真意とは?

そんな厳しい状況にある障がい者の真の自立のために活動しているのが今回取材したトゥギャザーです。この団体の活動を一言で表すと「中間支援」です。

では何と何の中間に立っているのでしょうか?

トゥギャザーは障がい者を雇用している福祉事業所と企業の間に立って、いわゆるコーディネーターの役割を担っています。というのも、企業と福祉事業所というのは全く異なった目的から作られているという背景が、両者の仲介役であるトゥギャザーが不可欠な理由となっています。そもそも、企業は「収益事業を行うこと」、福祉事業所は「障がい者の支援をすること」を目的として作られた経緯があります。

そのために、いざ企業と福祉事業所が手を組もうとすると互いの領域に踏み込むのに足りない視点が浮き彫りになり、摩擦が生まれてしまうのです。

例えば、企業からすると納期は守ってもらって当たり前、質も確保されていて当たり前という感覚がありますが、ビジネスの基本としてはそうでも、福祉の世界ではそれを当たり前にするのにはものすごく大変な苦労が必要なのです。

逆に福祉の世界では心のどこかで「何か不手際があっても守ってもらえる」「納期が守れなくても仕方がない」といった、甘えが見え隠れする状態の事業所もあるというのは別府さん。両者の違いやズレを客観的に見て冷静に述べることができるのも、仲介役であるトゥギャザーならではですね。そしてこのような状況の中で、必要なのは両者をつなぐ橋渡しの存在であると考えたのがトゥギャザーです。

直接的に障がい者の働く場を提供できる福祉事業所をトゥギャザーが自社で持つことを考えたときもあったそうです。しかしそうすると中立の立場を守れなくなってしまいます。トゥギャザーが中立の立場を守る真意とは、福祉事業所と企業の橋渡しの役割を全うするためだったのです。

寄付が1万円あったら100万円あったら

さいごに、毎回恒例の質問を別府さんにもしてみました。

Qもしも寄付金が1万円あったら何に使いますか?

「1万円集まったら販促品を買ったりチラシを作ったりそういうものに使いたいです」

Qもしも100万円あったら何に使いますか?

「団体としての意見ではないけれど、個人的にスタッフの給料に回してあげたいと思います。それが一番。モチベーションが上がってくれればより良い支援に繋がっていくと考えますから。団体としては100万円で何らかの専門家を呼んで一緒に商品開発がしたい。何か障がい者がつくる商品を売っていくための専門的なところに100万円を使うことができると、それによって利益を生むことができ、障がい者の工賃の向上にも繋がっていきますから」

こんなスタッフ想いで、他にはないことをやっている団体の話を聞いているうちに私自身、すごく応援したくなりました。

こうした意義のある活動をしているNPOがあるから暮らせている人たちがいて、この団体がいないと生まれなかった雇用もあったかと思うと、私たちの生活を豊かにしてくれているのは企業や行政だけでなくNPOという存在も大きいということに改めて気付かされた一日でした。もっともっとこうしたNPOの活動が世間に広まって、そしてそれらを応援できる仕組みがあればな…と思うとともに、今私ができる精一杯の活動ではありますがモノキフのライターという形で支援できることをとても誇りに思いました。

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