そんな厳しい状況にある障がい者の真の自立のために活動しているのが今回取材したトゥギャザーです。この団体の活動を一言で表すと「中間支援」です。
では何と何の中間に立っているのでしょうか?
トゥギャザーは障がい者を雇用している福祉事業所と企業の間に立って、いわゆるコーディネーターの役割を担っています。というのも、企業と福祉事業所というのは全く異なった目的から作られているという背景が、両者の仲介役であるトゥギャザーが不可欠な理由となっています。そもそも、企業は「収益事業を行うこと」、福祉事業所は「障がい者の支援をすること」を目的として作られた経緯があります。
そのために、いざ企業と福祉事業所が手を組もうとすると互いの領域に踏み込むのに足りない視点が浮き彫りになり、摩擦が生まれてしまうのです。
例えば、企業からすると納期は守ってもらって当たり前、質も確保されていて当たり前という感覚がありますが、ビジネスの基本としてはそうでも、福祉の世界ではそれを当たり前にするのにはものすごく大変な苦労が必要なのです。
逆に福祉の世界では心のどこかで「何か不手際があっても守ってもらえる」「納期が守れなくても仕方がない」といった、甘えが見え隠れする状態の事業所もあるというのは別府さん。両者の違いやズレを客観的に見て冷静に述べることができるのも、仲介役であるトゥギャザーならではですね。そしてこのような状況の中で、必要なのは両者をつなぐ橋渡しの存在であると考えたのがトゥギャザーです。
直接的に障がい者の働く場を提供できる福祉事業所をトゥギャザーが自社で持つことを考えたときもあったそうです。しかしそうすると中立の立場を守れなくなってしまいます。トゥギャザーが中立の立場を守る真意とは、福祉事業所と企業の橋渡しの役割を全うするためだったのです。